戦国武将の織田信長が若いころ「うつけ者」と呼ばれていたことは、
比較的よく知られている歴史のエピソードではないでしょうか。
語源から言うと「うつけ」には「中身が空っぽ」という意味があり、
「うっかりしている人」「ぼんやりしている人」などのことを指します。
ここでは、そんなうつけ者について、どんな特徴があるのか見ていくことにしましょう。
1.空想や妄想の世界に入り込んでしまう
うつけ者には自分独自の世界があって、しばしばその世界に入り込んでしまうという特徴があります。
その世界は、自分ひとりだけの空想や妄想の世界です。
いつでも、どこにいても関係なく、自分の頭の中にあるイメージの世界に没入してしまうため、
いわば「心ここにあらず」の精神状態になりやすいのが、うつけ者です。
人からは「あの人はしょっちゅうぼんやりしている」というように見えるわけですが、
本人はぼんやりして何も考えていないわけではけっしてありません。
むしろ、頭の中の想像の世界の中で、ビビッドに生きていると考えていいでしょう。
空想や妄想の世界にひとたび入り込んでしまうと、なかなか現実世界に戻ってこられなくなりますし、
人から声をかけられても、その声が耳に届かないということも少なくありません。
声をかけても反応がないため、ほかの人には中身が空っぽ状態の「うつけ」と映るわけです。
2.集中力がなく、注意力散漫
「心ここにあらず」な状態になりやすいため、うつけ者には集中力がないという特徴もあります。
仕事や勉強をしていても、長い時間それに集中することができません。
すぐに他のことを考えたり、他のものに目が移ってしまいます。
勉強中にスマホをいじったり、仕事をしている最中に、
仕事とは関係ないサイトをチェックするなど、注意力散漫になってしまうのが、うつけ者の困った傾向です。
集中力を欠き、注意力が散漫になってしまえば、当然、仕事や勉強ははかどりません。
ミスも多くなってしまうでしょう。
その結果、他の人からの信頼をえることができず、
評価が低くなってしまうのがうつけ者の特徴であり、だからこそ「うつけ」と評されるわけです。
3.人からの評価をまったく気にしない
そのように、人から低い評価をされるうつけ者には、「人からの評価を気にしない」という特徴もあります。
うつけ者は基本的に、自分にしか関心がなく、「自分は自分、人は人」と考えていますから、
人からどう評価されようが意に介しません。
人から良く思われたいという気持ちも持ちませんし、
人から「もっとこうしたほうがいいよ」と助言されても、ほとんど聞く耳を持たないのです。
と言って、まったく向上心がないわけではなく、自分で「こうしたい」と思えば、それ相応の努力はします。
ただし、それはあくまでも自分の意志にもとづくものです。
つまり、「人からアドバイスされたから」とか、「人から高い評価を得たいから」という動機で、
努力することがないのが、うつけ者の特徴ということになるでしょう。
4.場の空気を読まない
自分以外の人に対する関心が薄いため、人の気持ちを慮るということが、うつけ者は大変に苦手です。
人の心が読めないのですが、そもそも人の心を理解しようとする気持ちがないのが、うつけ者の特徴と言っていいでしょう。
人の気持ちに無関心ですから、当然、場の空気を読むこともできません。
より正確に表現するなら「場の空気を読もうとしない」ということになりますが、
そのため、コミュニティの中では浮いた存在になってしまいがちです。
普段はあまり使わない言葉ではありますが、信長のエピソードによって、
多くの日本人は「うつけ者」について、あるイメージを持っていると考えていいでしょう。
ここでは、そのイメージをより明確にするために、具体的な特徴を紹介しました。
参考になさってください。