「沈黙は金、雄弁は銀」と言われる日本の社会では、ともすれば「寡黙な人」は立派な人ととらえられがちです。
しかし何であれ決めつけてかかるのはよくありません。
今回は、色めがねなしで、寡黙な人の特徴と口数が少ない理由に迫ってみましょう。
【特徴・方法】
1.とくに言うべきことがないから黙っている
少し意地悪く始めてみましょうか。
黙っている人、口数の少ない人を、あえてネガティブに捉えるならば「とくに言うべきことがないから黙っている」「わざわざ口に出して言う価値のあるような意見も感想もない」という見方だってできるでしょう。
黙り込んで済ました顔でやり過ごせば、自分に何か責任のある役回りはまわってこないだろうと、逃げの姿勢を決め込んでいるだけなのかもしれません。
「沈黙は金」の日本文化ですから、寡黙な人の化けの皮をはがしてみるのも時にはよい刺激になることでしょう。
2.しゃべるとぼろが出るから黙っている
意地悪はまだ続きます。
最近はディベートやプレゼンテーションなど、言葉でしっかり表現し意見を戦わせることが必要不可欠になっていますが、寡黙な人のなかにはそういうことが苦手で、つまり何か話をしろと言われてやってみると、知識や情報があいまいで勉強不足なのがバレてしまいます。
それが嫌さに黙り込んでいるだけという人もいるはずです。
だとしたら、寡黙さは立派さとはまったく関係ないことになります。
むしろダメさ加減のバロメーターが、その人の黙っている度合いということにもなるでしょう。
3.威厳を保つために黙っている
だれかが黙り込んでムスッとしていたら、まわりは「そっとしておこう」と遠巻きにして、時には恐れの感情を抱くこともあるでしょう。
寡黙な人は、そういう人間の心理を巧みについて、無言を貫くことで自分の威厳を高めようとしている可能性があります。
それくらい、無言というのは、人を威圧し、場を委縮させるものだからです。
シカトされたら気持ちが重たく沈むでしょう。
寡黙な人が、こうした人の弱みにつけ込む形で、自分の存在価値を高めようとしているのだとしたら、彼らは立派な人間どころか、非常にずるがしこい嫌なタイプの人間だということになるでしょう。
4.しゃべるのが面倒くさくて黙っている
ことばでのコミュニケーションに疲れているのが、寡黙な人であるということも考えられます。
もしかしたら、もともとはよくしゃべる人間だったのが、ある時からすっかり面倒くさくなってしまって、スタイルを180度変えたということだってありえます。
もてるエネルギーが限られている以上、おしゃべりなんてしている暇はないと、そんなふうに考えている可能性も大です。
5.言葉による対話のむなしさに絶望したから黙っている
口約束ほど当てにならないものはありませんが、そもそもことばによる人間の対話は、どれくらいの確率で成功しているのでしょうか。
成功したか失敗したか、いちいち判定などしてはいませんが、もしかしたらその8割以上が失敗に終わっているのかもしれません。
誤解や思い込み、思い違い、すれ違い。
そんな対話の失敗にすっかり疲れ、打ちのめされて、対話をあきらめて黙っているのだとしたら、これはある種の悟りの境地と言えます。
ほら、だんだん寡黙な人の評価が上がってきました。
6.考えが複雑すぎて言うべきことがまとまらないから黙っている
偉い学者が分厚い本を書くのはなぜでしょうか。
それはやはり、口頭で説明しても抜けやくり返しが増え、本当に言わんとする主旨がきちんと伝わらないと思うからでしょう。
文章ならば自分が納得の行くまで何度も練り直し、完璧な説明を読み手に提供するこができます。
寡黙な人ももしかすると、言いたいことが複雑だったり高度だったりするため、発言としてまとめることに手間どってしまい、それでことばを発する機会を逸している可能性があります。
彼らに本を書くような知識や文章力があれば、すぐにも執筆をはじめるのかもしれません。
テレパシーはないのですから、本が書けないなら口で説明するしかないのですが「言わなきゃ…言わなきゃ…」と思えば思うほどプレッシャーがかかり、結局最後まで押し黙り続けてしまいます。
7.黙っていたいから黙っている
最後は禅問答のようですが、黙っているのが好き、という人がいて何もおかしいことはありません。
好き嫌いは人それぞれですから、無言を愛する人物に対してまわりが文句を言うことはできません。
沈黙への愛が深まれば深まるほど、人づきあいはギクシャクするかもしれないし、それは寡黙な人にとっても不本意なことなのでしょうが、好きになったら命がけ、自身の嗜好を変えることはだれにとってもたいへん困難な作業です。
いかがでしたでしょうか。
寡黙な人を少し意地悪く捉えることから始めて、黙っている理由を考察してきました。
寡黙な人と言っても1種類ではありません。
今回紹介してきた中のどの理由で黙っているのかをよく見極め、寡黙な人とのつきあいを少しでもスムーズなものにしていってほしいと願ってやみません。