人に知識やものごとの道理などを教え、正しい方向へ導こうとする人のことを啓蒙主義者と呼びます。
ちなみに、啓蒙の「啓」は「ひらく」、「蒙」は「くらい」という意味で、
文字通りに解釈すれば、「知識にくらい人の目を開かせる」ということになるでしょう。
ここでは、そんな啓蒙主義者について、どんな特徴があるのかご紹介します。
1.独善的なところがある
啓蒙主義者は、「知識のない人、愚かな人に正しい知識を与え、
賢くさせることは良いこと」と信じて疑いません。
そして、そういうことを実践している自分は正義であるという自負を強く持ってます。
しかし、啓蒙される相手が同じように感じているとは限りません。
啓蒙主義者から何かを教えられでも、教えられたほうは「別にそんなことを知りたいとは思わない」と感じることもあるでしょう。
「自分にとってそれはまったく関心がないことだし、
自分の人生に生かせるとも思わないから、教えてくれなくてけっこう」と思う人もいるに違いありません。
ところが、啓蒙主義者は相手の気持ちや考え方などおかまいなしに、知識を押し付けようとします。
そして、「自分は相手のためになること、人に取って役に立つ正しいことを行っている」と考え、
自尊心を満足させるのです。
つまり、ひとりよがりなわけです。
その点で、啓蒙主義者には「独善的」という特徴があるということができるでしょう。
2.自信家
自分に自信がなければ、自らすすんで人にものを教え、正しい方向へ導こうとは思わないでしょう。
「自分にはじゅうぶんな知識があり、ものごとの本質を見きわめられる目があります。
自分は教養人で頭脳明晰、論理的に物事を考える能力がある」という自負があるからこそ、
人にものを教えようとするわけです。
また、自分の意見や考え方にも絶対の自信を持っています。
逆に言うと、自分の考えに自信がなければ、啓蒙することはできないでしょう。
つまり、自分の知識や能力にも、自分の意見や考えにも自信のある自信家というのが、
啓蒙主義者の特徴の一つです。
3.上から目線
「人にものを教える人は、教わる人よりも上」と考えているのが啓蒙主義者です。
そもそも、「賢い自分が愚かな人の目を開かせる」とう意図から、
啓蒙をするわけなのですから、相手よりも自分の方があきらかに上に立っていると考えるわけです。
そのため、人に対してどうしても上から目線になってしまいます。
「教えてやる」という意識が、頭のどこかに常にあります。
相手がその高慢な態度を不快に感じていることなど考えず、
常に上から目線で人に対応するというのが、啓蒙主義者の特徴ということになるでしょう。
4.知識の守備範囲が広い
例えば、長くやっている趣味について、初心者に教えるというのは、誰でもすることです。
そのように、得意分野に関してのみ、知らない人にものを教える人を、啓蒙主義者とは呼びません。
啓蒙主義者は広範な分野のものごとについて、無知な人に知識を与えようとします。
たとえるなら、テレビのニュース番組やワイドショーのコメンテーターのようなものです。
コメンテーターは政治の話であれ社会情勢であれ、国際問題であれ、
スポーツや芸能、芸術に関することであれ、とにかくすべてのテーマについてコメントします。
啓蒙主義者もそれとよく似ています。
広範な領域のことについて、人に知識を与え、道理を説くことができます。
そのためには、幅広い分野の知識を持つ必要があるでしょう。
つまり、啓蒙主義者には「知識の守備範囲が広い」という特徴があります。
「啓蒙主義者」というのは、普段あまり耳目にしない言葉かもしれません。
しかし、上記の特徴を見てお分かりのように、
意外に身近にいるかもしれないのが、啓蒙主義者です。
身近に思い当たる人がいないか、チェックしてみてはいかがでしょうか。