人間は誰しも昔のことを思い出すことがありますが、
しょっちゅう過去を思い出しては、感慨に浸る人も少なくありません。
そういう人を「回顧的」と称しますが、そういう回顧的な人にはどんな特徴があるのか、
主に心理面に注目して見ていくことにしましょう。
1.現在の状況に大きな不満を感じている
回顧的な人の代表的な心理的特徴は、「現実逃避」でしょう。
過去のことを振り返り、「あのころはよかった」と思い、
その良かった思い出の中で生きようとするのが、回顧的な人の心理です。
その心理を生む原因は、現在自分が置かれている状況に対する小さくない不満と考えていいでしょう。
今の生活や人生に満足できず、「ここから逃げ出したい」と思っても、
人間、そう簡単に現在の現実を変えることはできません。
逃げたくても逃げられないのが現実というものでしょう。
そこで、過去に逃げ場所を見つけ、過去の時間を生きることで、一時的に現実を忘れようとしているわけです。
このケースでは、思い出の過去から現実に戻った時、いっそうつらい気持ちになってしまうという特徴もあります。
2.現在の状況に満足している
そうでない人にはなかなか理解しにくいことかもしれませんが、
回顧的な人には、上記とは正反対の心理的特徴もあります。
つまり、現在の状況に満足しているために、回顧的になるというケースも少なくありません。
今の生活に満足できている人は、心に余裕が生まれるものでしょう。
心に余裕があるために、昔のことを思い出しながら、しみじみ感慨に浸ることができます。
こういうケースの回顧的な人は、これまで歩んできた人生そのものを、おおむね肯定的に捉えています。
「過去にはいろいろなことがあったけれど、まあまあ幸せに生きてきたし、
今もまずまず幸せと言っていいだろう」という評価を、自分の人生にしています。
そうした幸福感が心の余裕を生み、自分の半生を回顧してしみじみ幸せをかみしめるというのが、
このケースでの回顧的な人の心理的特徴ということができるでしょう。
3.記憶力がいい
言うまでもありませんが、回顧的になるには、過去のことをよく覚えていなくてはなりません。
記憶力が悪くて、過去の自分のエピソードをあまり覚えていないのでは、
過去の思い出にしょっちゅう浸るということはできないでしょう。
「あの時、あんなことがあった。
こんなこともあった」というように、頭の中に記憶の引きだしがたくさんあって、
随時、そのさまざまな引きだしの中に眠っている記憶を呼び起こすことができるのが、
回顧的な人の特徴です。
4.記憶を美化している
回顧的な人は、過去の記憶を肯定的に捉えるわけですから、その記憶は美化されやすいという特徴があります。
人間の記憶は美化されやすいものではありますが、人によっては悪い記憶、
忘れたい思い出がしばしばフラッシュバックして、それに悩まされるということもあるでしょう。
それに対して、回顧的な人はほかの人よりも記憶を美化する傾向が強いために、
「楽しい記憶、うれしい思い出、美しいエピソード」を何度も何度もくりかえし味わうことができます。
5.未来志向ではない
「回顧的な小学生」は、皆無とは言えませんが、かなりレアな存在と言っていいでしょう。
逆に、「回顧的な高齢者」は珍しくありません。
というより、誰でも年齢が高くなるにしたがって、程度の差はあっても、だんだん回顧的になっていくものです。
高齢になればなるほど、未来のことよりも過去のことを考える機会が増えると考えていいでしょう。
年齢が低くても、回顧的な人にはその傾向が強いのです。
つまり、回顧的な人には「未来志向ではない」という特徴があると言っていいでしょう。
回顧的な人の特徴を5種類紹介しました。
回顧的な人には、現状に不満があるケースと、現状に満足しているケースがあります。
身近に、しょっちゅう昔の思い出に浸っている人がいるなら、
その人はどちらのタイプか考えてみてはいかがでしょうか。