人に対する不快感が限界を超え、怒りを爆発させることを「堪忍袋の緒が切れる」と言います。
人から不快なことをされた時、その場で怒りを表すことはしないで、
その不快感を心の中にある袋の中にしまっておく、その袋が「堪忍袋」というわけです。
では、堪忍袋の緒を切る人にはどんな特徴があるのでしょうか。
1.がまん強い
人から何か嫌なことを言われたりされたりした時に、
すぐに怒りをぶつけることは「堪忍袋の緒を切る」とは言いません。
それは単に「キレやすい人」であって、「堪忍袋の緒を切る人」ではないのです。
堪忍袋の緒を切る人は、人に嫌な思いをしても、それを表には出さず、じっとがまんすることができます。
例えば、職場の先輩や上司からパワハラやセクハラをされたりするなど、精神的な虐待を受けたとしましょう。
それが二度、三度とくりかえされても、ひたすらがまんし続け、
その忍耐が限界を超えた時にキレるのが、堪忍袋の緒を切る人です。
つまり、人並み以上に強い忍耐力があって、
小さくない怒りを自分の心の中の「袋」に閉じ込めることができるというのが、
堪忍袋の緒を切る人の特徴の一つと言うことになるでしょう。
2.人間的な度量が大きい
がまんではなく、人間的な度量の大きさで、人に対する不快感をコントロールするケースもあります。
例えば、ミスの多い部下を上司がマネジメントするとします。
同じミスを何度も繰り返せば、ふつうの上司ならそこで厳しく指導するでしょう。
短気な上司なら、二度目にミスをした時に怒鳴りつけるということになるかもしれません。
しかし、人間的な度量の大きい上司の場合は、
部下を頭ごなしにしかりつけるようなことは、できるだけ避けようとします。
ミスをするたびに、ていねいに部下を指導し、成長を見守ろうとするのが、
人間的度量の大きな上司というものです。
その度量の大きさは、「人を許す力の大きさ」と言い換えてもいいでしょう。
人間的に懐が深いため、他の人なら許させないようなことでも、許すことができるわけです。
しかし、その許す力にも限界があります。
部下があまりにミスをひんぱんにくりかえし、
まったく改善の意志が感じられないようだと、ついにはキレることになります。
これが堪忍袋の緒を切るということなのですが、
その前提になる特徴が、人間的な度量の大きさということになるでしょう。
3.腹をくくっている
堪忍袋の緒を切って、怒りを爆発させれば、場合によっては相手との関係が絶望的に悪化することもあるでしょう。
信頼関係が完全に壊れてしまうこともあります。
少なくても、それまでの関係が変化することは間違いないでしょう。
先ほどの例で言うと、上司や先輩からの精神的虐待に怒りを爆発させれば、
その結果退職するということになるかもしれません。
堪忍袋の緒を切る人には、そうした悪い事態を予想し、
「それでもかまわない」と腹をくくっているという特徴があります。
つまり、ふつうにキレる人とは違い、明らかな意志を持って怒りを爆発させるのが、
堪忍袋の緒を切る人の心理的特徴と言えるでしょう。
4.キレた後で後悔することが少ない
人間は、ついキレてしまった場合、キレてから「まずいことをした」と後悔することが少なくありません。
キレやすい人は、「なんで自分はこんなに簡単にキレてしまうのだろう」と悩むこともあるでしょう。
それに対し、堪忍袋の緒を切る人は、そのように後悔することがあまりありません。
まったく後悔しないというわけではありませんが、覚悟をもって怒りを爆発させたために、
最終的に「あれでよかった」と自分を納得させることができます。
つまり、怒りを爆発させた後の「後味」が悪くないというのが、堪忍袋の緒を切る人の心理的特徴です。
堪忍袋の緒を切る人には、その前提として「がまん強い」もしくは「人間度量が大きい」という特徴があります。
また、怒りを爆発させる時には腹をくくっていること、キレた後で後悔することが少ないことが、
堪忍袋の緒を切る人の特徴ということになるでしょう。