タモリさんはまさに日本一知名度の高いタレントと言っていいでしょう。
長く「お昼の顔」として看板番組を続けてきましたが、番組を辞めてさらに人気が高まっているようでもあります。
その人気の秘密はどこにあるのか、なぜ多くの日本人が彼を好きになるのか説明します。
1.ウケを狙わない自然体トーク
彼のトークの際立った特徴は「無理にウケを狙わない」ということです。
これは、お笑いタレントや芸人としては稀有な特徴と言っていいでしょう。
お笑いタレントは「ウケる」というのが仕事なわけで、若手はもとより、どんなベテランになっても、
どんな大物であっても、芸人である以上必ず「ウケ」を意識します。
ところが、タモリはその意識が極めて希薄です。
もちろん、タレントである以上、笑いを求めることはします。
しかし、それをトークの目的とはしていません。
あくまでも、相手の話を引き出すことがメインなのであって、「笑い」はそれに附属した二義的なものでしかないのです。
そこに、彼ならではの超自然体のトークが生まれます。
その自然体なところが、彼が多くの人から好かれる理由と言っていいでしょう。
2.「昼の顔」としての親近感
「笑っていいとも」を30年以上続けたということ自体が、彼の人気の理由になっていると考えられます。
ウィークデーの12時台という、主婦や高齢者はもちろん、労働者もテレビを見ることが可能な時間帯に、
30年以上MCとして出演し続けたために、日本一と言っていい知名度を得ることができたと言っていいでしょう。
2014年に番組は終了しましたが、その時点で物心ついていた年齢以上のほとんどすべての日本人が、「昼の顔」としての彼を認識しているわけです。
そこに、ほかの人気タレントと比べても際立った「親近感」が生まれたのです。
「テレビをつければいつでも出ている人」という親近感が、タモリ人気の大きな理由になってるということになります。
3.番組終了による喪失感
その番組が終了したことも、タモリ人気をさらに高める理由になったと考えられます。
「お昼にテレビをつけると出ている」というのが、30年以上当たり前だったわけです。
その「当たり前」が番組終了とともに「当たり前」でなくなりました。
その喪失感は、「タモロス」とよばれ、一種の社会現象のようにもなりました。
他にも「○○ロス現象」はいろいろあったものの、性別や年代をまったく問わないという点で、「タモロス」ほど大きな喪失感はほかにありません。
多くの日本人にとって、彼の存在は「日常の一部」だったわけです。
その日常の一部が失われたわけですから、「タモリ恋しさ」が募るのも当然の心理ということができるでしょう。
4.深夜帯の番組以外はアダルトネタを使わない安心感
デビュー当時の彼は、「密室芸」と称されたように、あきらかに「大人向け」の芸を売り物にしていました。
ブラックジョークや下品な表現も少なくありませんでした。
それが昼の番組に出演するようになってから、芸質が変質します。
アダルトなネタは深夜番組に限定し、昼間の番組では下ネタやブラックジョークを封印して行ったのです。
そのため、深夜帯の番組以外は、「子どもにも安心して見せられるタレント」となったと言っていいでしょう。
この安心感が、彼が好かれる一つの要因になっていることでしょう。
5.イヤミのない知的さ
タモリは知的な教養人という一面も持っています。
それが端的に表れているのが「ブラタモリ」です。
この番組は一度終了したものの、「タモリ人気」が強く復活し、人気番組となっています。
彼が見せる豊かな教養や知性が、番組の魅力の一つと言っていいでしょう。
しかも、彼はその博識ぶりをこれ見よがしに披露するということはしません。
あくまでも自然に、さりげなくふるまっているために、イヤミな感じが全くないのです。
これもまた、タモリの好感度をアップさせている要素ということができます。
日本人なら知らない人はいないといっていいタモリについて、その人気の理由をお話ししてきました。
「密室芸時代」には考えられなかったような高い好感度を得ることができた理由が、おわかりいただけたでしょうか。